STAFF BLOG
2026.01
07

新年、あけましておめでとう御座います!

本年もどうぞよろしくお願い致します。

さて、新年一発目の表題の件ですが、人間の脳は、複雑な情報よりも「構造が単純で整理されたもの」を美しいと感じやすい。これは脳科学の分野でも知られており、情報処理の負荷が少ない対象に対して、快感や安心感を覚える傾向があることが示されている。シンプルな図形や明快な構造、美しい数式に人が惹かれるのも、その延長線上にある。

この「単純さへの美意識」は、言語や文化にも深く関わっている。とりわけ日本語は、その象徴的な例と言えるだろう。日本語は多くを語らず、一語や一文字に膨大な意味や背景を込める言語である。俳句の十七音、和歌の三十一音、そして「今年の漢字」に象徴されるような、一文字で時代を切り取る文化がそれを物語っている。

近年、「今年の漢字」が「熊」であったことは印象的だった。一文字としては極めてシンプルだが、その背後には自然との距離感、恐怖、共存、被害、そして人間社会の脆さといった複雑な文脈が重なっている。説明を尽くさずとも、多くの人が直感的に「分かってしまう」。これは、日本語話者が共有している文脈理解力、いわば“行間を読む力”の賜物だろう。

このような言語特性は、民族性にも影響を与えていると考えられる。日本人は、詳細をすべて言葉にせず、曖昧さや余白を残すことを良しとする文化を育んできた。「察する」「空気を読む」「含みを持たせる」といった価値観は、一語に多層的な意味を重ねる日本語の構造と強く結びついている。

興味深いのは、脳が「シンプルな構造を美しいと感じる」ことと、日本語の「極限まで削ぎ落とした表現」が、極めて相性が良い点だ。情報量は少ないが、意味の深度は深い。これは脳にとって効率的であり、同時に感情や想像力を強く刺激する。

一方で、この特性は誤解や摩擦も生みやすい。言語化を前提とする文化圏では、日本語の省略や暗黙の了解が「分かりにくい」「曖昧」と映ることもある。しかし、それは欠点というより、異なる美意識の表れだろう。

シンプルな構造に美を見出し、一語に世界を宿す。この感覚は、日本語という言語を通して、日本人の思考様式や社会の在り方に静かに影響を与え続けている。たった一文字が、これほど多くを語る文化は、世界的に見ても稀有なのかもしれない。

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